植田阿希さんのデザイン参考書「ロゴデザインの教科書 良質な見本から学べるすぐに使えるアイデア帳」の感想記事です。
2020年7月発行。
「平凡なロゴ」を「印象に残るロゴ」に変えるヒント、知識が詰まった一冊。
ユニクロのロゴなどで有名な佐藤可士和さんのインタビューも掲載されています。
複数の制作会社が手がけたロゴデザインがずらっと掲載されています。見ているだけでも楽しいロゴばかり。
佐藤可士和さんのインタビューで参考になったところ
この参考書の序盤に佐藤可士和さんのインタビューが掲載されています。
佐藤さんいわく、ロゴデザインは「コミュニケーションツールのシンプルな形」。
良いロゴとはメッセージをきちんと伝えることのできるロゴであり、また人々の印象にしっかり残るロゴです。
ロゴデザインの教科書
ロゴデザインを制作する上で最も重要な点だと思いました。制作中に行き詰まってきたらこの原点に立ち返ると良さそうですね。
- 耐久性の重要さ
- 30年後に見ても古く見えない
- 流行に左右されない
- クライアントの本質を凝縮したロゴ作り
などのポイントも書かれていました。
「コンセプトを固めるためのヒアリングやディスカッションに一番時間をかける」という部分も重要なようです。
佐藤可士和さんの本は他にも何冊か読んだことがありますが、医者の診察のようにしっかりと依頼者の要望(現状で悪い点があればそこを改善するアイデアを考える)をヒアリングしている姿が印象的です。
クライアントが求めていることは「クリエイターとしての判断」です。作りっぱなしで、好きなものを選んでくださいというのは責任を果たしていません。
いちばん大事なことは、たくさんの案をプレゼンするとしても、ぼくがクリエイターとして考え抜いたベストのデザインをオススメすることです。そこからディスカッションがはじまるのです。
ロゴデザインの教科書
最後に佐藤さんのロゴデザインの制作事例が掲載されています。(国立新美術館、今治タオル、ユニクロ、セブン&アイなど)ロゴの展開事例もキレがあってかっこいい。
イメージ別に個性的なロゴデザインが掲載されている
この参考書のメインの内容は、複数の制作会社が手がけたロゴデザインの制作例です。下記のようなジャンルで分かれて紹介されていました。
- 躍動感があり元気なロゴ
- 高級感、上質感があるロゴ
- 親しみやすさ、可愛らしさがあるロゴ
- 信頼感、安定感のあるロゴ
- 文字から作るロゴ(手書き文字を含む)
全体的に記憶に残る個性的なロゴデザインが多く、デザインを制作する際にインスピレーションをもらえそうです。
ロゴデザインの分布図、イメージの傾向を探る
個人的に実用的だと思ったのはロゴデザインの分布図です。自作の分布図を作ることで、ビジュアルを共有するのに役立ちそうです。
下の図のような感じで空白のスペースに自作のロゴデザインを配置します。(僕が作ったロゴを入れようと思いましたが、いまいちでしたので空白にしています)
下の図はフォントの形状の分布図です。他にも縦軸横軸を色で分けたり、小さく使う場合と大きく使う場合、屋外と屋内などの分布図が紹介されていました。
デザインについて全くわからないという依頼者や、イメージが定まっていない依頼者に対して、方向性を決めるのにかなり良さそうですね。
その他にも
その他にも
- 手書きのラフ、初回は複数のデザイン案と展開例
- ロゴ運営のためのレギュレーション(使用規定)の作成
- ロゴのさまざまな展開例や、アイソレーション(ロゴ上下左右の余白)、配色、禁止令
などなど。
コラムもロゴにまつわる雑学が詰まっていました。
さいごに
「ロゴデザインの教科書」の良いところは「ロゴデザインの制作例が満載!」という点に尽きます。
本を読みながら「こんなロゴの表現方法あったのか!」とか「よくこんな形状思いつくな」という感嘆とため息ばかりでした。
デザインの参考書は紙の本を買うのがベストだと思いますが(パラパラめくれるのはアナログの本の最大のメリット)、電子書籍も一応悪くはないです。
僕は映画などが見れるサブスク「U-NEXT」を契約していますが、U-NEXTのポイントを使って「ロゴデザインの教科書」を購入して読みました。