永井弘人さんのデザイン参考書「[新版]デザイナーになる! 伝えるレイアウト・色・文字の大切な基本と生かし方」の感想記事です。
2019年5月発行。
本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」で読みました。
4年前の参考書ですが時代を問わず、デザインの仕事をする上で大事なことが書かれています。特にデザイナー初心者の方は参考になる一冊。
デザイナーを目指す人の入門書
最初に書かれていましたが、この本の対象は「デザイナーを目指す人の入門書」とのこと。
僕はデザインの仕事をして20年近く経ちますが、ベテランデザイナーでも原点に帰る意味で重要なことが書かれていると感じました。
特に大事な点だと思ったのは下記の文です↓
デザインは「目的を形にすること」そして、デザイナーは「目的を定められ、目的を形にできる人」
「実際に作ってみて、知識を知恵に変える。手を動かすことが大事」
「心構え」「基礎知識」「作例解説」について
この参考書は3つの項目で構成されています。
①デザイナーの心構え
「デザイン」は「カッコよくて、キレイな表現をすること」じゃない。「目的」ありきなんです。その「目的達成のため」、カッコよくしたり、キレイに表現したりするんです。
[新版]デザイナーになる!
デザインは一方的に提供するものではなく「一緒に作り上げていく」もの。
[新版]デザイナーになる!
その他にも個人的にとても参考になった点を書き出してみます。
- 一言で伝える「印象のゴール」を決める。
- コンセプトを立てるためにキーワードを書き出す。
- デザインに迷ったらゴール、コンセプトを再度意識する。
- 何度も試行錯誤、プリントして確認する。
- どんなデザイナーになりたいか、自分自身にもデザイナーとしてのコンセプトを。
②基礎知識
2つ目のチャプターでは基礎知識について書かれています。
- 紙のサイズ、ページものデザインの専門用語、ペラものデザイン用語
- Webデザインの構成要素
- 罫線、ジャンプ率、余白、視認性・可読性
- 情報の整理グループ化、見た目のレイアウト整理
- 配色について。色相明度、配色の意図
- フォント選び
こういう知識は知っていると、見やすいデザイン、伝わるデザインの手助けになります。全てをすぐに体得するのは難しいと思いますが、とにかく自分で作ってみると理解の速度が違うと思います。
③作例
最後のチャプターでは著者の作例が紹介されています。
どうしてそのデザインに至ったのか制作意図が書かれていました。
デザインの展開方法も参考になりました。さまざまなシーン、モックアップイメージ例が豊富にあります。
また、チャプターの区切りで入っている1ページのコラムも面白い内容でした。
著者の永井さんはデザインをすることがとても好きなんだろうなと、その楽しさが伝わってきました。
さいごに(個人的な経験も踏まえて)
最近気づきましたが、僕はデザインの参考書を読むのが好きなようです。
仕事に使えるというのはもちろんですが、デザイナーによって仕事の取り組み方や制作方法がさまざまで、そういう部分が面白くて読んでいる感じです。
デザインの仕事は正直なところクライアントありきと言いますか、クライアントから頂く仕事の内容によって結構変わってくるのかなと思います。例えば僕はフォトショップはほとんど使っていませんがデザインの仕事をしています。僕がメインでしているパッケージデザインの仕事は、そこまでフォトショップを駆使しなくてもできる仕事だからだと思います。
だからと言ってフォトショップの使い方を知らなくても大丈夫という訳ではなくて、少しは知っている上でそこまで使う必要がない、という判断をしています。
今回ご紹介した参考書は基礎的な内容を網羅していますので、自分の仕事に直接関係ない部分があっても知っていると後々役立つと思います。
ちなみに僕がデザイナーとして最初に働いていた会社は、旅行関係のパンフレットをメインで作っていました。観光のパンフレットは日程やホテルの情報などがぎっしりと入っています。もはやデザインどうこうではなくて、いかにこの大量の文字情報と写真を紙面に入れていくか、そこに全てを注ぎ込んで作っていた感がありました。結局、この仕事は自分がしたい仕事と違うなと思って(わがまま)1年ほどで辞めてしまいました。今思えばこういう仕事は一見つまらなそうに見えますが確実に需要があります。仕事というのは基本「つまらなくて・誰もがやりたがらない」そういう面もあることに最近気づきました。仕事をいただけるだけでとても幸運なことに気づいたフリーランスの僕。
自分語りが長くなりましたが、デザイナー初心者の方は自分がどういう仕事をしたいのかを決めることも重要かなと思います。目指すべき目標があると楽しいですしね。
なお、永井弘人さんのデザイン参考書はKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で他にも10冊ほど読めますので、チェックしてみてください。
コメント