シブヤ領一さんのデザイン参考書「そもそものデザインのりくつ」をKindle Unlimitedで読みました。
2022年12月発刊。
Kindle Unlimitedは他にもデザインの参考書がたくさん読み放題で読めます。
この参考書はデザインを言語化する際に役立ちそうです。「どうしてそのデザインにしたのか?」を言葉できちんと説明できると説得力も違ってきますしね。
フォントの選び方、配色、レイアウトなどデザインの理屈についてわかりやすく書かれています。
読む前は「デザイナー初心者向けかな?」と思っていましたが、20年近くデザイナーをやっている僕にも非常に為になりました。(僕が知らないことが多かっただけかも ^^; )
「こんなこと知らなかったよ!」という情報が結構あったので、これからデザイナーを目指そうとしている方、デザイナーを始めたばかりの方、ベテランデザイナーの方、どの層にも為になる一冊です。
デザイン参考書をよく読んでいます。「これだけ読んでたらもう大体知ってる」なんて思って読んでも、毎度新しい発見があるからすごい。
「そもそものデザインのりくつ」についてざっくり
この参考書で伝えたいことは著者が「はじめに」で書いています。
「デザインはいくら真似てもなかなか上達できない。目の前のデザインを良くするだけの対処療法的な情報に頼らずに、デザインの理屈を知ることで、根本的なデザイン力の底上げを狙う原因療法に目を向けることが大事」
SNSやYouTubeではイラストレーターやフォトショップの便利な技だったり、デザインのコツを簡単にまとめたものをよく見かけます。
これはこれで非常に重宝しているんですが、どうしてそうするのか?というデザインの理屈をしっかり説明した情報はあまり見かけません。
この参考書では
- そのフォントを選ぶ理由
- その配色にする理屈
- 視線誘導の理屈
- 錯視調整の理屈
- 情報整理の理屈
などをわかりやすく説明してくれます。
「そもそものデザインのりくつ」で個人的に為になったこと
「こんなこと知らなかったんですけど!?」と驚くことが多い一冊でした。
ということで、個人的に為になったところを一部ご紹介します。
英語のフォント
デザインで英語を使う場合は、日本語フォントを使うことはかなり少ないです。どこかのタイミングで会社の先輩に教えてもらったのかもしれませんが、無意識レベルで選択肢に入らないことが多い。
この参考書ではその理由が書かれていました。
日本語フォントの英語は、日本語と併記して使うことを意識して設計されているので、英文字単体で見た場合の作り込みが浅く映えない、とのこと。
日本語のフォントの英語はなんかこう1文字がでかい(横に幅広い?)感じがします。これは上記に記載してる通り日本語のサイズ感にフィットするように設計されているからなのかな。英語単体で使う場合は、少し野暮ったいというか。スマートじゃない感じがします。
一応、日本語フォントと英文フォントを並べてみました。英文フォントもたくさんありますし、この画像だけ見ても比較が非常に難しいですが、デザインする際に色々と試してみるとわかりやすいかもしれません。
もちろん日本語フォントを使ってはダメという訳ではありませんので、これに囚われ過ぎなくてもいいと思います。
なんとなくやっていたことの理由が知れてスッキリしました。
行末の記号
これは意識したことすらなかったんですが、行末に「!」や「?」がある場合に中央揃えすると、「?」は文字と認知されずにズレを感じて美しく見えないようです。
こちらも参考書を見ながら自分で作ってみました。全ての文字でこの対応をする必要はないかも知れませんが、キャッチコピーなどで大きく扱う場合などは少し意識してみると良さそうです。
この参考書ではこういう本当に小さい部分の意識について、かなり論理的に書かれています。すごい。
錯視
先ほどの記号に対する意識と似ていますが、「錯視調整」について結構ページを割いています。
そのほとんどを僕は知らなくて非常に為になりました。
上の画像は膨張色について。同じサイズでも色によって大きく見えたり、小さく見えたりします。囲碁の碁石は黒の方が小さく見えるので、黒の碁石は実際にサイズが少し大きいらしいです。豆知識が凄すぎる!
ちなみに、以前仕事を依頼してくださった方から「文字サイズが揃っていないように見える」という質問に対して、補助線までつけて「いえ、同じサイズなんですよ」と説明していたりもしました。
そうではなくて、そう見えるのであれば錯視による調整までするのがデザイナーではないか、と今思えばまあまあ恥ずかしいことをしていたようです。
他にもたくさん
個人的には他にも為になった部分がたくさんあります。気になった方はチェックしてみてください。
デザイン参考書の情報を有意義に使う
昔はデザイナーの知識やノウハウはオープンなものではありませんでした。
少なくとも僕のデザイナー人生では、先輩からしっかりとデザインについて教えてもらったことは割と少ないです。
会社員のデザイナーとして会社はいくつか変わったものの、合計で10年くらい働いていました。どの職場でもデザインについて教えてくれる先輩は少なかった。
ずっと同じ職場にいれば別ですが、中途採用のデザイナーの場合はある程度即戦力で採用されるので基本的なことはできる人が多いです。デザインはデザイナー自身も感覚的にやっていることも多いでしょうし、よほど基礎的なこと以外であれば明確な答えがないので、なかなか先輩から指摘をもらうことありませんでした。
僕自身、教える立場もしたことがありますが、本当に基本的なこと以外はなかなか説明も難しいですし、僕の場合はそもそも自分もよくわかっていなかったりします。(おい!)
今はSNSやYouTubeなどで無料でデザインについて学べる時代です。
ですが、どちらかというとチップス的な(イラストレーターやフォトショップの小技みたいな)情報が多く、デザインの本質について書かれた情報は少ないです。
今回ご紹介したデザイン参考書のような情報は貴重ですので、デザイナーを目指す方、デザイナー初心者の方はおすすめです。
Kindle Unlimitedでは他にもデザイン参考書が複数読めますので、今回紹介した参考書と併せてチェックしてみてください。
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