アラン・ピーターズさんのロゴデザインの参考書「Logos That Last 時代を超えるロゴデザインの原則」の感想・解説・考察。

2025年11月発行。
この参考書は電子書籍で購入しました。
ロゴデザインの参考書をよく読んでいますが、今まで読んだロゴデザインの中でも1番おすすめと言ってもいいかも知れません。
特に、ロゴデザイナーの方、ロゴデザインを本気で取り組もうと思っている方は、めちゃくちゃ参考になると思います。絶対に買うべき一冊。

アラン・ピーターズさんはおそらく、この一冊にロゴ制作のノウハウを全て詰め込んでいると思います。かなり有益ですのでぜひ手に取ってみてください。
ロゴの参考書「Logos That Last」の内容について
著者の紹介と、この本を出した経緯
著者のアラン・ピーターズさんは、ブティックデザインスタジオ、大手マーケティング会社、トップ10ブランドなどの会社でデザイナーとして勤務。
2008年に大学時代からの恋人マリアと二人でピーターズ・デザイン・カンパニー(PDCo)を設立。2015年に定職をやめフルコミット。
月~木曜の間で一週間分の仕事を終わらせ、金~日曜は家族と休暇を過ごす時間に充てる。
本の中でPとDを組み合わせたロゴが頻繁に登場するんですが、途中まで会社のロゴ(PDCo)ということに気づきませんでした ^^;
周りからは「なぜデザインの参考書、ロゴデザインについての本を出さないのか?」と言われていたが、なかなかタイミングが見出せず。
デザイン本2冊の批評動画をアップしたところ、この動画を見た出版社から依頼が来て、この本が出来上がった、という経緯です。
この参考書のメインは、ロゴ開発の具体的なプロセス、著者独自の手法がどう機能しているかを、説明した内容です。
完璧の追求、愛と情熱が原動力
アラン・ピーターズさんがロゴを作る際に心がけていること。
- トレンドに左右されないロゴ作りをキャリアに捧げる
- シンプルかつユニーク
- 記憶に残り、時を経ても色褪せない価値を持たせる
元々は絵を描くのが好きだったが、その情熱が想像力を突き動かし、デザインのスキル向上に役立っている。
数十億ドル規模のブランドデザインや、数々の受賞はその情熱のおかげ。
ロゴデザインのことをいつも考えている。夢に出るくらいに考えている。
完璧なロゴは存在しないが、完璧なロゴを追求する情熱こそが、時代を超えて残るロゴになる。
手を抜かない。心から愛する。深く掘り下げる。
第一章 時代を超えて愛されるロゴに
第一章では「10の柱を適切に扱うこと」が書かれています。
依頼主の事情もあって、納期・予算・製品の品質、この3つの柱はコントロールが難しい。しかし、情熱・美しさ・独創性・機能性・色・記憶に残る要素・シンプルさ、この7つの柱はコントールが可能。
製品の出来が良くない場合に、どれだけロゴデザイン(ブランドアイデンティティ)が優れていても、失敗する運命。クライアントを選ぶこともできるが、難しい場合も多い。
コントロール可能な7つの柱についてそれぞれ説明があります。これがめちゃ有益。
- 才能あるデザイナーになるためには、情熱を継続することが不可欠。
- 普遍的な美しさはあるはず。その追求のための努力をする
- シンプルさは大事だが、シンプルすぎると独創性に欠ける。二つのバランスが大事
- どれだけ小さくしても、視覚的に優れたロゴを作る
- 長く続くマークは彩度の高い色を使っている傾向がある。しかし単一で目立つ色は無い。素晴らしいカラーパレットを見つけることが大事
- 記憶に残るロゴを作るには、物語性が大事。
- とにかくシンプルにすることに時間をかける。やりすぎてメッセージが弱くなった部分を見分け検討する
序盤に、著者のロゴに対する思いが書かれています。
「時代を超えて愛されるロゴにするには?」を常に考え、キャリアに捧げてきた。
プライベートでは、デザインのインスピレーションを求め、アンティークショップ、博物館、古着屋で長い時間を費やす。
ここまでくると趣味が仕事みたいな感じ。
第二章 ロゴデザインの制作プロセス
第二章ではロゴデザインの制作プロセスが書かれています。
「ブランド名詞」これは個人的に馴染みがない言葉ですが、主題となる名詞を書き出し、連想する図形を書き出すことのようです。
最初の段階からクライアントに参加してもらって、ブランド名詞を絞り込んでから、ロゴのスケッチに取り掛かる。
そして、とにかくスケッチが重要とのこと。この段階でいいものが出なければ、作り込んでも時間の無駄。最低50スケッチを必ず作成する。
その後も、制作プロセスが書かれています。
- 組み合わせ
- ベクトル化とグリッド化
- 最初のプレゼンテーション
- 強力なマークを売り込む方法
という順番で仕上げていく流れが書かれています。
第三章 インスピレーション探し
第一章にも少し書かれていましたが、インスピレーションを得るために、著者はアンティークショップをよく訪れるようです。
スマホなどで写真を撮ってストックすれば、かさばらないし便利。
特にピンタレストなどのネット上でインスピレーションを得ると、似たようなデザインばかりになるから注意、と書かれていました。
トレンドに左右されないマークの追求に、ヴィンテージデザインは一役買うようです。
50年以上前にデザインされたにもかかわらず、今日デザインされたかのようなマーク。そういうマークを探し、インスピレーションを得る。
このマーク集めは著者自身かなり楽しんでいることが伝わってきます。
第四章 バッジデザインのプロセス
第四章のような内容は、他のロゴデザインの参考書では個人的に見たことがありませんでした。
バッジデザインのプロセスが説明されています。
ブランドマークの形状、タグライン、オリジナルのバランスワード(デザインのバランスを取るためのオリジナルのワード作成)などなど。かなり参考になります。
実際に、著者のロゴデザインの中にはバッジデザインのようなロゴデザインが結構あります。
第五章 ブランドの拡大
第五章ではブランドの拡大方法が書かれています。
パターン化する方法、見せ方(モックアップみたいなもの)、アイコンとしての見せ方、などなど。
制作したロゴデザインを、どう展開していくか、展開方法が書かれています。
第六章〜八章
第六章から八章は著者が制作したロゴデザイン、ブランディングに関して、細かい説明があります。
デザインの掲載もかなりあって、これがすごい。
特に、現在あるロゴデザインをリブランディングする内容はかなり参考になりました。
そのどれもがシンプルかつオリジナリティに溢れています。
ロゴの参考書「Logos That Last」の良かったところ
著者のロゴデザインは、ネガティブスペースの使い方がめちゃくちゃ上手い印象を受けました。
シンプルなデザインが多いですが、複雑なロゴのデザインもあって、これがまたカッコいい。
アンティークを集めるのが趣味ということから、缶バッジのようなデザインが多めなのも特徴的でした。
この本を読んでいると、感謝を込めた言葉が多く、家族の写真も多い。仕事時間の充て方からも家族を大切にしていることが伝わってきます。きっと対面してもすごく優しい人なんだろうなと想像できます。
著者が住んでいる市のロゴの依頼があって、そのロゴがまた素晴らしい。
そのロゴを作ったことによって、他の市のロゴの依頼が増える話も、そりゃそうだよなと頷ける内容でした。
まとめ
この本を読み終えて感じたのは「この本は価格以上の価値があった」ということです。
ロゴデザイン、ブランディングという点においては、どこかでデザインの講義を受けるよりも、価値がありそうな内容です。
プロフェッショナルを目指すデザイナーはもちろん、ブランディングに関わるすべての人にとって、役立つ一冊。もうこの本をベースに、ロゴデザイナーとして確立してもいいくらいにすごくよかったです。



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