Adobe Illustrator(イラストレーター)のアートブラシを使って、筆文字ロゴの制作方法をご紹介します。
手書きで書く筆文字と比べて、アートブラシを使った方法は、登録した筆のタッチを使うので、全体的にまとまりがある(一体感がある)ロゴができます。
ロゴデザインの表現手法の一つとして、割と使えるんじゃないかと密かに思っています。
今回ご紹介する内容はYouTubeでも投稿しているので、動画が良い方はチェックしてみてください↓

20年以上イラストレーターを使っていながら、オリジナルのアートブラシを登録して使うのは今回初めてです ^^; 今さらながら便利な機能ですね。
イラストレーターのアートブラシに登録する「筆の線」を用意
まずは、イラストレーターのアートブラシに登録する「筆の線」を作ります。
過去に手書き文字を書いていた中に筆の線があったので、再利用したいと思います。下の画像は、半紙に筆で書いた文字をスマホで撮影した画像です。

筆ペン(筆)と半紙(プリント用紙でも構いません)を使って、さっと筆の線を書くだけなので、ほぼ誰でも使える方法だと思います。
フォトショップで画像を開いて、今回使用する筆の線の部分だけ「切り抜きツール」で切り抜きます。カラーモードはモノクロに設定。モノクロにすることで、白黒のコントラストがつけやすくなります。

フォトショップの上部にある「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」をクリック。白黒のコントラストをつけます。下の画像のようなグラフに調整すると白黒をはっきりできます。

次に筆の線の選択範囲を作ります。いつもは上部メニュー「選択範囲」→「色域指定」を使って選択範囲を作成しています。「色域指定」ではウィンドウが表示され、アートボード上ではカーソルがスポイトのアイコンになります。アートボードにある筆の線をクリック、許容量を「200」にしてOKをクリックします。筆の線が選択されます。
選択方法は他にも様々ありますので、筆の部分の選択範囲さえ作れれば、他の方法でも全く問題ありません。

不要な部分は「なげなわツール」でoptionキー(Windowsはaltキー)を押しながら囲うと選択範囲を外せます。

選択ができたので、「パスウィンドウ」の右上にある「3本の横線のアイコン」をクリック→「作業用パスを作成」をクリックして、許容値を0.5にしてパスを作成します。

筆の線のパスができました。「パス選択ツール」で選択してコピー、イラストレーター上にペーストします。

イラストレーターで、アートブラシを新規登録する
フォトショップで作った筆のパスをイラストレーターに持って来れました。

少し線が細かく粗いので、線をなめらかにします。(今回は気になってしているだけなので、必ずしもする必要はありません)
筆の線を選択した状態で、イラストレーター上部の「オブジェクト」→「パス」→「スムーズ」をクリックします。

スムーズの小さいウィンドウが表示されます。スライダーを左右に移動できます。数値は2%くらいがちょうどいい感じでなめらかになります。

これでオリジナルのブラシが完成しました。

ブラシウィンドウに筆の線をそのままドラッグして、ブラシ登録ができます。

ウィンドウが表示さるので「アートブラシ」で登録します。

オプションウィンドウが表示されますが、そのままで右下のOKをクリックします。ここで細かい設定ができますので、任意で調整しても構いません。

ペンツールで線を組み立て、文字の形に。その後、ブラシに変換。
アートブラシが登録できたので、ペンツールで線を組み立て、筆文字を作っていきます。

線を選択した状態で、ブラシウィンドウの中の先ほど作ったブラシをクリックすると、線がブラシに反映されます。「線幅」を変えると筆も細くなるので、随時調整してみてください。

せっかくなので、他にもオリジナルの筆の線を登録してみました。

これで下準備が整いました。
さっそく、筆文字のロゴを作っていきます。
テキストツールで制作する文字を打ち込んで、文字の形の参考にします。今回はサンプルで「ART BRUSH」の文字を作っていきます。

フォントを参考に、ペンツールで線を配置していきます。文字の書き順や、線の入れ方も自由で構いません。イラストレーターの上部メニュー「表示」→「定規」で上と左に定規のような数字のメモリが表示されます。メモリの部分を下や右にドラッグすることで、ガイドラインが作成できます。
今回は制作する文字の上下にガイドラインを引いて作成しています。ガイドラインがあると、バランスがとりやすいです。

下の画像のように1文字ずつ作っていきます。

微調整をしてこれで完成です。

線をコピーして、ブラシを変更するだけで、一括でデザインイメージを変更できるのが便利!

オリジナルブラシを登録すれば著作権も商標登録も安心
今回ご紹介した方法は一つの線をオリジナルで作成して、アートブラシとして登録。
アートブラシを適用してペンツールで作ったロゴデザインは、既成のフォントを使わず、オリジナルなので著作権も自分にあります。
オリジナルということは、もちろん商標登録もできるので、商標登録もしたいという依頼者に対して仕事として活用できます。
全部自分で作ってしまえるというのは、デザインの仕事をしていると何かと便利で有利な場面が多いです。時々仕事で制作している手書きの筆文字制作もその点、心強く、侵害の恐れがないので、気が楽です。
まとめ
時々ですが、筆文字ロゴのご依頼をいただくことがあります。
ある日、ご依頼頂いた方から「こんな感じで作ってほしい」と、イメージしているロゴデザインを提示されました。そのデザインは全ての文字がフリースタイルの筆文字のロゴではなくて、線のタッチが一定の形を成すものでした。
イラストレーターのアートブラシで作成したことが一目でわかりましたが、「なるほど!こういう方法があるのか」と、新しい発見でした。
そのご依頼は、今回ご紹介した方法でロゴを作って無事納品。非常に喜んでいただけました。
そんな流れがあったので、今回ご紹介した次第です。
何かしらご参考になれば嬉しい限りです。


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